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高田屋嘉兵衛 -菜の花の沖について- 豪商高田屋嘉兵衛の生涯を描いた小説「菜の花の沖」、作者は故司馬遼太郎氏(文春文庫し-1-52他)。 題名にある「菜の花」についてであるが、これは菜種油にするため、六甲山麓の芦屋川や住吉川の急流を利用した水車式の搾油業が発生し、その大量生産技術が価格的に有利となった事や、酒造業の発展により、兵庫の海運業が栄えたという歴史的な背景がある。 主人公の高田屋嘉兵衛が生まれた対岸の淡路では多くの菜の花が栽培されたという。つまり、淡路で取れた菜の花が、現在の神戸市東灘区に送られ、その加工品である油を兵庫より北前船で諸国に送り取引をするという当時の廻船業のシンボルを表したタイトルのように思う ご存知のように淡路島は江戸時代、蜂須賀氏の所領、すなわち、政治的には徳島であった。しかし、経済的には、兵庫地方への結びつきが大きかったようである。たとえば水産物・農作物をはじめ瓦などの工業製品も送られたのである また、文化面においても、淡路島におけるえびす信仰と西宮神社の関係、兵庫区の民話「夢野の鹿」に見られるような文化的な結び付きも忘れてはいけないだろう。 阪神淡路大震災では、その活断層も続き、苦しみも共有した地域で、明石大橋がかかり、その結び付きを確かにした現在であるが、古くからこの兵庫、阪神、淡路地域をホームグラウンドとして活躍した高田屋嘉兵衛は、利益の半分を社会貢献に還元するなど、新しい日本人の行き方をしたモデルとして、兵庫県の共通した郷土の英雄としても注目されます。 ゴローニン事件解決の立役者としても知られる、この高田屋嘉兵衛の物語は、NHK開局75周年記念(2000年11月放映予定)の大河ドラマとなることが決定され、この兵庫津も改めて人気ある場所となると思われます。 情報技術科 教諭 西川 敏弘 参考文献 |