フォーンパッチ時代の

インターネットとアマチュア無線の音声接続

 

JF3MXU 西川 敏弘

(協力 JH3OII/AJ1A 中村千代賢)

Total-Access:



インターネット電話

インターネット電話を利用した音声通信については、会議システムなどさまざまな利用形態や経済性が注目され、多くのシステムが提供されています。

今回はインターネット電話の概要と、これを利用しアマチュア無線の電波に音声を乗せるという新しいシステムを紹介したいと思います。

各種技術の融合

インターネットもホームページに代表される文字やデジタル画像などのデータの伝送だけでなく、本来アナログ信号である音声などもデジタルに変換し、リアルタイムで電送できるようになってきました。インターネット電話もその技術の延長線上にあるものです。

 これらは、コンピュータハードウエアの性能向上だけでなく、インターネットの普及に伴うソフトの充実が背景にあり、わが国の電気通信法制度も新しい時代に向けた対応があったことがこの発展に結びついているのです。

 一方、有線通信と無線通信という区分はあるものの、携帯電話等が普及した現代では相互接続された通信システムとして機能しており、その「境界」は今までの私たちのもつイメージから変わりつつあります。

私たちのアマチュア無線も本年5月に、電気通信回線と接続できる道が開かれました。一方、アメリカなどでは、古くからフォーンパッチが認められておりインターネット回線経由で、アメリカのレピータにアクセスできるシステムがあることを知りましたので紹介していきたいと思います。

 

インターネット電話の3つの種類

 インターネット電話といわれるものには接続される通信機器の構成により、次の3つに大別できます。

(1)インターネットに接続されたパソコンを通信機器として使用する方式

'95年2月 イスラエルに本社を持つVocaltec 社が「Internet Phone」を発表し、その後Windows95やインターネットブームのなか技術は急に進歩しました。これはパソコンを持つ人同士が利用できる、インターネット上の(一対一通信の)音声伝送システムだったようです。やがて同じインターネットサーバーに大勢でアクセスし会話ができるようになりました。

このタイプのシステムは、後述するホワイトボードや画像伝送の機能も追加して「TV電話」や「会議」をするツールとして注目されています。私も以前仕事で「インターネットによる遠隔授業」(CuSeeMeを利用)を行ったことがあります。興味ある方は私のホームページをご覧ください。

これら自分も相手側も、コンピュータを通信機器として利用する方式です。この区分にある他の同様なソフトとしては,Microsoft社のNetMeetingなどが有名です。


中略


 これらのうち、今回取り上げるのは(1)の一般的なタイプです。これらは多くのソフト会社が独自の規格で開発しています。

 これらは、音声を伝送するという点では共通しますが、通信するデータの電送形式が違うだけではなく、通信相手も限定することになります。

その理由はソフトの開発会社が、その商品専用にサーバーを開設し、ユーザはそれに接続する仕組みがほとんどであるためです。このようにソフトが違うと通信はできません。

 したがって、今回の記事のように「アマチュア無線への接続」をするためには、Vocaltec社のIPHONEが必要となるのは、これらの事情からです。

 E−mailのように、あなたのお使いのメールソフトは何ですか?という質問は成り立たないのです。逆に、「どのバージョンをお使いですか」という質問は多くあります。というのも同一ソフトでもバージョンによって互換性の問題なども生じているようなのです。同じインターネットの通信ソフトでありながら、ブラウザやメールソフトとは少し事情が違うようです。

Vocaltec社のIPHONEについて

対応機種は、ウインドウズ版とMAC版があり、それぞれ多くのバージョンが存在します。今回私たちがテストしたのは、ウィンドウズ版のiphone4.5J(日本語版)です。

私は、市販のウインドウズ版パッケージソフト(イマジニア社が販売元となったCD−ROM)を購入しました。

ただし同じ日本語版も数社より発売されているようです。

今回たまたま購入したのがキャンペーン商品で、購入すると2ライセンスを取得できるとありました。(標準価格は9800円ですが実売は少し安いようです)


CQ誌1998年8月号では、このインターネット電話を使用したフォーンパッチの事例研究として、ソフトの使用方法やシステムの紹介などをしました。


今回はインターネット電話を利用した、アメリカのフォーンパッチシステムを紹介しましたが、単なる通信ソフトだけでなく、システムの工夫や認証ソフトなど多くの知恵を見ることができました。これらは日本で、このようなものが作れるかという事とは別次元として、あくまで海外の現状を紹介したものですが、中には理解しにくい制度や慣習もあったことは事実です。


 最後になりましたが、本稿作成にあたりVOCALTEC Internet PHONE日本語版マニュアルより一部引用させていただきました。許可いただきましたイマジニア株式会社様に記してお礼申し上げます。

 


記事共同執筆者JH3OII中村千代賢氏のホームページ ぜひご覧を


平成10年9月更新

JF3MXU 西川敏弘 ホームページへ

 

post

西川敏弘 jf3mxu@hi-ho.ne.jp