12月10日 (土)  師走の頃

師走の今日、こんな出来事があった。

場所はルミナリエで混雑する三宮、時刻は4時半を過ぎた頃だった。

ルミナリエで交通規制され一車線少なくなっていた道路の一番左側で、僕は乗用車で信号待ちをしていた。

その左側(といっても同じ車線の隙間だが)に青年一人が乗ったバイクが割り込むように狭いところを入ってきた。

(こっちの車に触れそうな距離)僕が10cmほど前進すると、そのバイクの青年は急に窓を開けてくれと手を回し「今僕の足を踏みましたよ」と慌てた口調で言ってきたのだ。

内心(何を言ってるんだ)と思ったが、あまりの混雑に降りて行って話す場所でもなく、「この交差点を左に行ったところで話そう」と僕が言ったら、青年は先に左折して行った。

もちろん踏んだ覚えもなく、悪いのはそっちの方で、逆にこっちの前輪を蹴飛ばしたんじゃないか?とも思っていたから、そのままやり過ごしてもよかったのだが、一応どんな奴か見てやろうと思い左へハンドルを切った。

僕が左へ曲がったところで車を止めようとしたら、バイクの青年はずーっと先の方へ止め、こっちまでトコトコと歩いてきた。

「足はどうなった?」と僕が聞くと、
「いえ、足は大丈夫なんですが靴が…」と言いながら自分の足の方を指差した。

その足元には、内側の土踏まずの方へVの字に避けた靴があった。

その青年の眼を見たら、半分逃げ腰だ。

(なんだ新手の当たり屋か)そう思った僕だが、その青年のあまりに弱々しい態度がかわいそうになり、財布から千円札を三枚差し出して「これで済まそう」と聞いてみたら、「…靴が2万円だったんで…半分の…」と怖々喋る青年。

(バカヤロー)と怒鳴ってやろうかとも思ったが、(コイツはきっと金が無いんだな)とわかったので1万円を渡してやった。

その時に「もうこんなこと二度とするなよ」と僕が言ったら「わかりました」と青年は頷いて去っていった。

自分のバイクをこちらから見えないところまで止めに行ったのを見ると、覚えられないようにしたのか、いつでも逃げ出せる体制をとっていたのだろうか。

本当に世知辛い12月だ。

(画像はGoogleから引用)

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