4月13日 (火)  和牛の行方は・・・


最近は何処へ行っても、めっきりと美味しそうな牛肉が減ってきた。

美味しい和牛の条件である「枝振り」は大型化して、「脂つき」はパサパサとしている。
「サシ(霜降り)」もどんどん粗くなり、ロースの芯にまでスジが入っている。
そんな牛肉を生産する畜産農家がここまで増えるなど到底考えられなかった。

もちろん全てに原因があるのだが、和牛の精肉という道で生きる僕の口からは、なかなか公表できないのである。

僕にとっても消費者にとっても、これは非常に悲しい現実である。

20年ほど前から兆候はあったが、まさかここまで急に和牛の形態が変わるなど、予測の及ばないことだった。

「霜降り信仰」ともいえる間違った知識だけが一人歩きして、現代の和牛を扱う業者と消費者に混乱をもたらすことになってしまった。

神戸の西部市場でも、20年前は和牛100頭のうち2〜30頭あった「旨い牛」は、現在10頭までしか見当たらなくなってしまった。

牛肉の価格は下がってないのだから、一日でも早く業界の関係者たちが目を覚まし、震災ではないが「復興」へ向かうことを日々僕は願う。

人は食べ物を「見るだけ」では美味しさも、幸せも満たされないのだから・・・