12月12日 (日)  「弱さ」


一般に「被害者」の反対は「加害者」というが、それは人と人の場合にのみ用いられる場合が殆どだ。

しかし、「被害者」という言葉だけで考えると、自然災害の被害者であったり、巻き添えを食った場合に使われることが多い。

「喧嘩両成敗(けんかりょうせいばい)」という言葉もあるように、今回の歌舞伎役者の顔面殴打事件で見れば、喧嘩になって一方的に負けてしまったら被害者で、勝てば加害者になるのも妙な話に聞こえる。

偉そうに振る舞っていたら相手の感に触って暴力沙汰になった。

相手にぶん殴られてビビったのも弱さと表現するが、手を出してしまったのも同じく弱さに例えられる。

逆に、酒で酔っても紳士的に振る舞う強さもあり、挑発されてもグッと堪える強さもある。

今回の事件はその「弱さ」から起きた事件で、「偉ぶったり、ビビらない」というのは、裏を返せばすべて人が持つ「心の弱さ」を露呈してしまった結果と言えるだろう。