10月2日 (土) 「雁木(がんぎ)」 インターネットで「雁木」を検索すると、「木材を積み上げた船着き場」とか、「雪国の商店街などの軒を雪の重みから支えるもの」と出てくるが、今回訪れたのは、岩国市にある八百新酒造の日本酒ブランド「雁木」のことだ。 (もちろん検索すればこの酒も出てくるが) 今年の春に大阪梅田にある阪神百貨店において、第一回目の「にっぽん酒まつり」が開催されたときのこと。 全国各地から集った銘酒の酒蔵が都道府県別にずらりと並ぶ中、山口県は岩国市から旭酒造と隣り合わせで八百新酒造があった。 ブランド酒名は旭酒造「獺祭(だっさい)」と八百新酒造「雁木(がんぎ)」。 この2社と覚えている。 獺祭の「磨き○割○分」という大吟醸のネーミングにインパクトはあった。 あまり酒の飲めない僕が一口飲んで「甘い!」(僕は甘いのが好きだが)と言ったために、旭酒造の担当の方に勘違いされて「酒は米が原材料、甘いのが当然」と、長く説明されてしまった。 話をたっぷり聞けて嬉しかったのだが、どうやら昨今の辛口好きと思われたらしい。 途中からは「説教」にも聞こえたほどだった(笑)。 お隣の八百新酒造は、社長自ら来ていた。 (縁あってか、たまたま名刺を頂いたから知ったのだが) ここの酒もまた別のインパクトがあり、同じ岩国の酒でも獺祭とはその違いがはっきりと顕れていた。 雁木からは、最近の日本酒ブームで珍しくなくなったが、シャンパンやビールのような発泡系日本酒も配られていた。 何故か雁木に興味を持った僕は、「また山口県へ出向いたときは、ぜひ酒蔵へ寄せて頂きますので宜しくお願いします」と社交辞令で言った訳ではないが、八百新酒造の小林社長も笑顔で首を縦に振ってくれたので(勘違いだったらご免なさいだが)岩国の城下にある「雁木」の酒蔵へと足を運んだのは先月のことだった。 一度だけ会ってから数ヶ月後のことなので、電話で訪問する日は確認したものの、顔や名前まで覚えて頂いているとは考えてもいない。 先ずは行ってから説明すれば分かって貰えるだろうと思って訪ねたのだ。 何処の酒蔵へ行っても感じることだが、その使いこなされた蔵の風貌は、日本建築の遺産にいつも思える。 八百新酒造も同様、我々が生まれる前から建ち続ける店構えは、どっしりとした歴史がのし掛かってくる重厚な建物だった。 中へ入ると、元気の良い若い蔵人が二人居た。 「小林社長は居られますか?」とは告げたものの、初めて訪れたお客にも関わらず、わざわざ社長を呼びに行ってくれたのは嬉しかったが、奥から出て来た社長が「どうぞ」と気さくに奥へ通して頂いたのも、嬉しさが一人(ひとしお)だった。 (自分だったら遠方から訪ねて来た客人というだけで同じようにもてなせただろうか)と頭に浮かべつつ奥の事務所のソファーへ腰を下ろした。 僕より少し白髪の小林社長は、八百新酒造の四代目で、その昔は醤油を造っていたそうで、聞き違いでなければその初代から数えると五代目に当たるという。 会話の内容を書くには至らないが、中で所望して頂いた新酒の数々は絶品のような気がした。 取り分け「おりがらみ秋熟ひやおろし純米大吟醸」は小瓶だったが、買ったその日に宿で連れと二人で呑み干したほど、旨すぎた。 今月の下旬から「今年の酒造り」に入ると言う小林社長は杜氏も兼ねている。 八百新酒造のHPに酒造りの動画が載せられているが、そのチームワークで一気に造り上げる雁木の酒は、飲む酒というよりは「呑ませる酒造り」の気風が漂うように、八百新酒造四代目小林社長を見ていて思えた。 また次の新酒が楽しみだ! (画像はGoogleより引用) |